ロープロファイル対応のトップフローCPUクーラー「JONSBO HP-600-BLACK」を手に入れましたので、冷却性能を詳しく見ていきます。

基本スペック
本体サイズ:120(W) × 66(H) × 120(D) mm(高さは付属ファン含む)
※メモリ高さ40mmまで対応
ファンサイズ:120 × 120 × 厚さ15 mm(搭載ファン)
接続:PWM 4ピン
ファン回転数:800 ~ 1800 rpm(±10%)
風量:23.46 ~ 61.51 CFM
ノイズ:18.3 ~ 37.2 dBA
静圧:0.29 ~ 1.71 mmH2O
対応TDP:210 W
対応ソケット:LGA 1200 / 115X / 1700 / AM4 / AM5
ヒートパイプ:6 mm径 × 6本
重量:484 g(付属ファン含む)
全高66mmのトップフロークーラーです。
メーカーは「ロープロファイル型」と謳っていますが、全高66mmですと入らないMini-ITXケースもそれなりにある印象です。取り付け予定のケースに入るかは事前によく確認してください。
また、メモリの高さが40mmまでとのことなので、大型のヒートシンクが付いたメモリは避けた方が無難でしょう。
このクーラーのポイントとしてはTDPが210Wまで対応している点です。
数値だけで言えばローエンドのサイドフロー空冷に匹敵する冷却性能です。
サイドフロー空冷や簡易水冷を取り付けられないケースにおいては非常に重宝する選択肢となるでしょう。
ただし薄型ファンで風量を稼ぎにくいこともあって、最大ファン回転数は1800rpmとなかなかの高回転。静音性はあまり期待できません。
検証機材
ロープロファイル対応CPUクーラーはエアフローの乏しい小型ケースにおいて運用される場合がほとんどでしょう。
そのため、今回は実際にMini-ITXケースに部品を組み込んで検証を行いました。
熱のこもりやすい環境で実際にどの程度の冷却性能を発揮できるのかを見ていきます。
ケース:Fractal Design Ridge
マザーボード:ROG STRIX B850-I GAMING WIFI
CPU:Ryzen 7 9700X
ビデオカード:SAPPHIRE PULSE+ Radeon RX 6600 XT
メモリ:Crucial Pro 32GB (16GB*2) DDR5-5600
ストレージ:Crucial T500 M.2 NVMe 2TB
CPUクーラー:JONSBO HP-600-BLACK
ケースファン:Fractal Design Aspect 140 mm*2 (ケース付属)
検証時の室温:約22℃
マザーボードのファン回転数制御ユーティリティ「Fan Xpert 4」にてファンモードを「標準」に設定
スリムケースである「Fractal Design Ridge」を筐体として使用。決して放熱性の低いケースではありませんが、スリム故に全体を一貫する明確なエアフローが存在しないPCケースです。
冷却対象であるCPUには「Ryzen 7 9700X」をチョイス。ミドルハイクラスの性能を持ちながらもTDP65Wという低発熱で、電力効率に優れたCPUです。
ビデオカード・メモリ・ストレージは今回の検証に直接関係ありませんが、ケース内の熱源として参考までに記載しています。
- エアフローに乏しいケース内
- CPU以外にも複数の熱源がある
という実際の小型PCで起こりやすい、CPU冷却に不利な環境を準備した上で検証を行っていきます。
アイドル時温度
検証方法
常駐ソフトを除き何も開いていない状態でデスクトップ画面にて30分放置し、その間の最小CPU温度をチェックします。
結果
最小温度は45℃。やや高めではありますが許容範囲内と言えるでしょう。
ファン制御を標準モードにしているためか、この温度ではファン回転数がほとんど上がりませんでした。
温度が上がった時に冷却が間に合うのであれば問題ないですし、実用上もファン回転数が上がらない方が静かで良いです。
高負荷時CPU温度
CPU使用率が常に100%となる状況下での冷却性能をテストします。
実際にCPU使用率が100%に張り付くような場面は少ないですが、このような過酷な条件下でCPU冷却が間に合うのであれば十分な冷却性能を得られていると判断できます。
検証方法
「CINEBENCH R23」にてテストを10分間実行し、その間のCPU温度の推移をチェックします。また、実行中の最大CPU温度を併せてチェックします。
結果

テスト中のCPU温度は80℃付近を推移。こちらもやや高めの温度ですが、サーマルスロットリングが発生する温度上限95℃までは15℃の余裕があります。CPUの性能を十分に引き出せる程度の冷却はできていると評価できるでしょう。
テスト中の最大温度は82℃となっており、瞬間的に冷却が間に合わないような状況は確認できません。安定した冷却を行えていると言えます。
連続ゲーム実行時CPU温度
次は実際の使用状況に近い条件で冷却性能をテストします。
長時間3Dゲームをプレイした際のCPU温度変化を確かめます。
3Dゲーム実行中においてはCPUだけでなくGPUも激しく発熱するため、小型ケースにおいては筐体内に熱がこもり冷却が追いつかなくなる場合があります。
このテストでも冷却が間に合うのであれば、長時間快適なゲームプレイが可能と評価できるでしょう。
検証方法
「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」を30分間実行し、その間のCPU温度とベンチマークスコアの推移をチェックします。また、実行中の最大CPU温度を併せてチェックします。
結果

テスト中の平均CPU温度は72.4℃。最大温度は83℃。グラフを見ても徐々に温度が上がっていく様子はなく、安定的に冷却できています。
スコアについても徐々に低下していく等の現象は発生せず、安定したフレームレートが出ているようです。
ただし今回の検証に関してはGPUがRadeon RX 6600 XTであり、Ryzen 7 9700Xと組み合わせるにはやや低性能なGPUです。
GPU側がボトルネックになってCPUの使用率が上がらず、結果として冷却が追いついた可能性は否定できません。組み合わせるグラボ次第でもう少し発熱する可能性があるという点は予めご了承いただければと思います。
……とはいえ平均72℃であれば、もう少し使用率が上がったところで問題なく冷やしきれるかと思います。
まとめ:ロープロファイルにして十分な冷却性能
- + 全高66mmのロープロファイルとしては優れた冷却性能
- + TDP65W級のCPUをエアフローに乏しい小型ケースでも十分に冷却可能
- – 高回転型ファンなのでそこそこうるさい
全高66mmにして小型のサイドフロー空冷と同程度の冷却性能を持つ点は積極的に評価したいところ。簡易水冷の搭載が不可のケースにおいてTDP65W、105W級CPUを冷やしたいのであれば、本製品は有力な選択肢です。
薄型ファン故の高回転で騒音に悩まされるのは難点ですが、こればかりはロープロだから致し方ないと割り切るほかないと思います。
※一応、薄型ではなく通常の25mm厚ファンに換装して回転数を抑えるという手もありますが、全高76mmとなるとさらに入るケースが限られてきます。組み合わせる予定のケースの仕様も踏まえて検討してみてください。
以上、「JONSBO HP-600-BLACK」のレビューでした。